ひかるのブログ

マキシマリスト地方医大生

【ほぼギリシャ語】「英語で覚えろ!」に対抗しよう!!【メモ供養】

「用語は英語で覚えろ!」

大学の先生に「用語は英語で覚えろ!」と言い続けてる先生がいました.それは正しいと思います.でも,解剖実習の疲労のせいか,またその疲労回復をホルマリンの匂いに阻害されていたせいか,心にわずかながらの反抗心を抱きながらその先生の言葉を聞き続けていました.

 

まあ今となっては解剖実習期間も一瞬でしたし,もうその先生と会うこともないので,無駄な反抗心であったとも言えるのですが,その反抗心を治めるべく「その単語が本当に英語なのか?」を調べていた時期がありました.

 

ちなみに解剖学用語はほとんどギリシャ語由来です.そもそも「anatomy」が「ana(完全に)」+「temno(切る)」というギリシャ語由来の語です.

この接頭辞「ana-」は英語の「on」のご先祖でもあります.この接頭辞は「analyse」「analogue」や「anaphylaxis」でも見ることができます.

 

そのストックが溜まってきたし,もう使うこともないので,その反抗心の結晶であるメモをここに供養したいと思います.

「それ,英語じゃなくてギリシャ語ですよ」って当時言いたかったなあ.

※軽く英語の話をしておくと,現代英語はアングロサクソン語を祖語に持ちます.ゲルマン語(≒古ドイツ語)が近い親戚みたいな感じで,ラテン語ギリシャ語の順に遠くなっていきます.ただラテン語ギリシャ語の影響をたくさん受けてますし,現代英語においてその3言語の区別はほぼ無意味と言っていいでしょう.日本語でも外来語は普通に日本語として使いますよねって感じです.ただ英語母語話者もお堅い文書等ではある程度気にするらしいです.

 

ゲルマン語由来(の単語や接頭辞)

heart,lung,liver,kidney,bladder等々.「医学部受験用単語帳」的なやつに出てくるやつは大体ゲルマン語由来.というか日常英語は大体ゲルマン語.専門用語は大体ギリシャ語.ちなみに現在のドイツ語で心臓はHerz,肺はLunge,肝臓はLeber,腎臓はNiere,膀胱はBlase.

ギリシャ語由来(の単語や接頭辞接尾辞)

tcardio-:心臓(electrocardiogram:心電図 tachycardia:頻脈 とか ちなみにtachy-もギリシャ語接頭辞)

angio-:血管

artery:動脈(ちなみにveinはラテン語由来)

pneumono-:肺(pneumococcus:肺炎球菌 -kokkosは種子の意 ちなみに-coccusもギリシャ語)

gastro-:胃(gastritis:胃炎 -itis:炎症←これもギリシャ語)

stomach:胃

hepato-:肝臓(hepatoma:肝がん -oma:腫瘍←これもギリシャ語)

pancreato-:膵臓(pancreas:膵臓,pan-「すべて」+kreas「肉」←解剖したら中身があったから.胃とか腸とか他の臓器は空なのに.ちなみにpan-「すべての」 +demos「民」でpandemic)

epi-:上に(epitheliumのepi-.後半のtheleは「乳首,吸う」←これもギリシャ語)

entero-:小腸

colono-:結腸

nephro-:腎臓

cysto-:膀胱

ラテン語由来(の単語や接頭辞)

vein:静脈

intestine:腸

small intestine:小腸

large intestine:大腸,でもsmallとlargeがゲルマン語由来だから日本語的には「石油ショック」的な響きになるのかも

 

圧倒的ギリシャ語ですね.ちなみに医学部6年生が大好きなhyper-「上」 hypo-「下」もギリシャ語由来ですね.

ちなみにギリシャ語由来の語にはギリシャ語接頭辞が付くという法則があります.なのでpneumococcusのpneumono-のみならず-coccusもギリシャ語だったのはそんなに不思議なことではないんです.ラテン語等々も同様なのでsmall intestineの(ゲルマン語)+(ラテン語)が例外ですね.

【本】

『英語解剖図鑑』原島 広至

『教養の語源英単語』清水健二